正常圧水頭症
痴呆[認知症]の原因は定かではありませんが、ある疾患の二次的な症状として痴呆[認知症]の症状が出てくることがあります。
たとえば、脳腫瘍(のうしゅよう)や慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)、正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)がそうです。
●正常圧水頭症
正常圧水頭症というのは、脳髄液(のうずいえき)の吸収障害、流通障害などによって脳室内圧(のうしつないあつ)が高くなり、さまざまな症状を呈するものです。
水頭症には、乳幼児期にみられる先天性水頭症(せんてんせいすいとうしょう)と、その後に起こる若年者水頭症(じゃくねんしゃすいとうしょう)、さらに初老期に起こる正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)があります。痴呆[認知症]の症状が二次的に出るのは、この正常圧水頭症の場合です正常圧水頭症。
先天性水頭症の主な原因は、脳の先天性形成異常、炎症や外傷、腫瘍(しゅよう)、くも膜のう胞などがあります。
若年者水頭症の場合は、中脳水道(ちゅうのうすいどう)の狭窄(きょうさく)による場合が最も多いとされます。
そして初老期の正常圧水頭症の場合、多くはくも膜下出血に続いて発症するといわれます。正常圧水頭症の発病は、おもに50~60歳代で、痴呆[認知症]や歩行障害、尿失禁などの症状が出ます。
治療は、正常圧水頭症の場合、脳室―腹腔、または脳室―心房をむすび、脳脊髄液の流れる道をつくる手術を行います正常圧水頭症。これを「水頭症のシャトン術(髄液短絡術)」と言います。
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クロイツフェルト・ヤコブ病コルサコフ症候群
アルツハイマー型痴呆[認知症](老年痴呆[認知症](ろうねん(ちほう[にんちしょう]))は、「老人ボケ」と呼ばれることもあるように、初老期(40~60歳)や老年期(65~70歳)に発病します。この年代には、痴呆[認知症]とは別に、痴呆[認知症]の症状を示す他の病気もあります。そのひとつが、「クロイツフェルト・ヤコブ病」です。
●クロイツフェルト・ヤコブ病
クロイツフェルト・ヤコブ病は、多くは50代に発病し、さまざまな精神症状を示しながら、急速に痴呆化します。
大脳や小脳に特徴的な海綿状態がみられます。感染症の一種と考えられ、「遅発性ウィルス感染症(ちはつせいうぃるすかんせんしょう)」とか、プリオンという病原体が原因という説が強いです。
予後は期待できず、1,2年で死にいたります。
クロイツフェルト・ヤコブ病以外にも、痴呆[認知症]とよく似た症状を呈する病気があります。コルサコフ症候群やピック病があります。
いずれにしても異常に気づいたら早めに診断を受け、進行を遅らせる治療を一刻も早く始めることが大切です。
●コルサコフ症候群
「健忘症(けんぼうしょう)」とも呼ばれます。
原因は、脳の障害です。特に記憶機能と関係の深い乳頭体(にゅうとうたい)や間脳(かんのう)・中脳(ちゅうのう)領域における損傷が影響していると考えられています。
過去のことを思い出せなるという「記銘障害(きめいしょうがい)」が現れ、そのためにつくり話をしてつじつまを合わせるといった症状が出ます。
慢性アルコール中毒、一酸化炭素中毒(いっさんかたんそちゅうどく)、脳腫瘍(のうしゅよう)、脳炎(のうえん)などにもみられ、病的な原因によって生じます。
経過は、その原因となった病気によって異なりますが、一般に高齢者では予後は悪くなるといわれます。
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見当識障害
痴呆[認知症]の主な症状に知能の低下があります。
まずは記憶障害から始まり、ついさっき食べたばかりの食事の内容が思い出せない、さらには食べたことすら忘れてしまい、家族が自分だけに食事を与えてくれない、と被害妄想(ひがいもうそう)に駆られたりすることもあります。
また、症状が進むと物忘れの他に、失語・失行・失認(しつご・しっこう・しつにん)といった「見当識障害(けんとうしきしょうがい)」が目立つようになります。こうなると日常生活に支障をきたすようになります。
●見当識障害
自分が置かれている場所・時間・環境を把握する認識能力を「見当識」といい、その能力が障害されることを「見当識障害」といいます。
脳の損傷などが起こると、こうした認知能力が起こることがあります。
では、失語・失行・失認とは?
●失語
聴覚や発声機能に異常がないにもかかわらず、言語の理解や発声が障害されているものを「失語」といいます。
●失行
運動障害をもたらす器質的な病変がないのに、行動が正しく行われないものを「失行」といいます。
●失認
本来認識すべき対象に対して、正常な意味理解ができなくなったものを「失認」といいます。
痴呆[認知症]が疑われる場合、その有無や程度を診断するためにいろいろな評価尺度から検査が行われます。そのテスト項目は、主に「認知機能(にんちきのう)」を中心にして作成されています。
認知機能とは?
人間は、現在自分がいる時間や場所、周囲の状況を関連させて正しく把握し、理解することができます。このような、注意、知覚、了解、判断、記憶などの総合された複雑な認識作用を「認知機能」と呼びます。痴呆[認知症]では、この機能が障害を受けているのです。
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老年痴呆[認知症]
「痴呆[認知症](ちほう[にんちしょう])」の症状(知能の働きが低下し、物忘れがひどくなったり、記憶力が悪くなる)症状が、40~60歳の初老期にあらわれる場合を「初老期痴呆[認知症](しょろうき(ちほう[にんちしょう]))」と言い、65~70歳の老年期にあらわれた場合を「老年痴呆[認知症](ろうねん(ちほう[にんちしょう]))といいます。
●「老年痴呆[認知症]
「老年痴呆[認知症]とは、脳の病的な老化によって記憶障害、判断力・思考力の低下、さらには人格の変化など、さまざまな精神症状を起こす状態です。「老人ボケ」といった言い方がされることがよくありますが、あまり好ましい呼び方ではないでしょう。アルツハイマー型痴呆[認知症]とも呼ばれます。
現在、日本では65歳以上の老人の4.8パーセントが「ぼけ老人」、すなわち「痴呆[認知症]を抱えていると言われます。そしてそのうちの4分の1程度がアルツハイマー型痴呆[認知症]で占められています。
日本では一番多いのは、脳血管性痴呆[認知症](のうけっかんせい(ちほう[にんちしょう])です。ただし欧米では、アルツハイマー型痴呆[認知症]が多く、日本でもその傾向がみられるようになりつつあります。
30年後には、3倍に急増するという推定もあります。ご家庭での看護の問題も含め、病院や専用施設の整備が急がれています。
「老年痴呆[認知症]の原因は、はっきりしていませんが、脳卒中(のうそっちゅう)などの脳血管障害に起るものとは違っていることは確かです。
CTスキャン(コンピュータ断層撮影)によると、大脳の委縮(いしゅく)が確認されていることから、脳の変化が何らかの影響を与えていることが予想されます。
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Categories: 痴呆症 Tags: 「老年痴呆[認知症], アルツハイマー型痴呆[認知症], 痴呆症, 老化, 認知症
初老期痴呆[認知症]
知能の働きが低下した状態を「痴呆[認知症](ちほう[にんちしょう])」といいます。物忘れがひどくなったり、記憶力が悪くなるといった症状が出ます。
これらの症状が、40~60歳の初老期にあらわれる場合を「初老期痴呆[認知症](しょろうき(ちほう[にんちしょう]))」と言い、65~70歳の老年期にあらわれた場合を「老年痴呆[認知症](ろうねん(ちほう[にんちしょう]))とわけて呼ぶことがあります。
脳動脈硬化などの脳血管障害に由来する「脳血管性痴呆[認知症](のうけっかんせい(ちほう[にんちしょう]))と区別し、これらの痴呆[認知症]は、アルツハイマー型老年痴呆[認知症]と呼ぶことがあります。
●初老期痴呆[認知症]
初老期痴呆[認知症]は、早い場合には、40歳代から発病することがあります。65歳以上の老年期に起こる「老年痴呆[認知症]」と比べると、知能の低下といったさまざまな精神症状が比較的短期間に進行する傾向があります。まだ働き盛りの年代であるがゆえに、ご本人はもちろんのこと、周囲の人たちが受ける精神的打撃も非常に大きなものとなります。
最初は、物忘れがひどくなるといった症状から始まります。ただし、いつもその症状が出ているわけではなく、正常なときもあれば、そうでないときもあり、また忘れていても周囲の人が指摘してあげると思いだすことができるため、ご本人も周囲の人たちもそうと気づかないことが少なくありません。
ただし、症状は徐々に慢性化し、完全になおることはありません。
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Categories: 痴呆症 Tags: アルツハイマー型痴呆[認知症], 初老期痴呆[認知症], 痴呆症, 老年痴呆[認知症], 認知症
コリン
アルツハイマー性痴呆[認知症]には、まだ根本的な治療法はないのが現実です。それでも最近では、脳内アセルコリンの研究が進むにつれて、老年痴呆[認知症]に対して、「コリン作動性薬物」や「コリン前駆物質(こりんぜんくぶっしつ)」を投与するといった治療法が開発されつつあります。
これは、アルツハイマー型痴呆[認知症]や、その他の痴呆[認知症]で特に記憶障害が起こるのは、「コリン」による神経間の連絡が絶たれるためであると考えられるからです。
●「コリン作動性薬物」、「コリン前駆物質」
「コリン作動性薬物」および「コリン前駆物質」とはどのようなものなのでしょうか?
「コリン」というのは、神経と神経のつなぎめ、神経と筋肉などの組織とのつなぎめにおいて、情報を伝達する化学物質のひとつです。
なかでも最も強い作用をもつのが、「アセチルコリン」という物質です。
アルツハイマー型痴呆[認知症]や、その他の痴呆[認知症]の症状の一つで、特に記憶障害については、「コリン」による神経間の連絡が絶たることがその理由の一つではないか、という考えから、コリンやアセチルコリンの生産を促す薬や、コリンの原料となる薬が、痴呆[認知症]による記憶障害の改善に有効なのではないかとされ、それを治療に用いる試みがなされているのです。
ただし、まだ研究途上であり、十分な治療効果はあがっていないのが現実です。高齢化とともに、痴呆[認知症]に苦しむ患者さん、およびそのご家族の方々の数は急速に増加しています。可能性のある治療法が一刻も早く実用化されることを願います。
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健忘性障害
痴呆[認知症]とよく似た症状を示すものに「健忘性障害(けんぼうせいしょうがい)」があります。
精神疾患の診断バイブルといわれるアメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引き』(DSM-4)では、健忘症の3つのタイプを定義しています。[参照:『DSM-4精神疾患の分類と診断の手引き新訂版』医学書院]
1.「(一般疾患を示して)~による健忘性障害」
2.物質誘発性持続性健忘性障害
3.特定不能の健忘性障害
このうち、「(一般疾患を示して)~による健忘性障害」は次のように定義されます:
1.新しい情報を学習する能力の障害または以前に学習した情報を想起できないことにより明らかにされる記憶障害の出現
2.記憶の障害は社会的または職業的能力の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準からの著しい低下を示す。
3.記憶の障害はせん妄または痴呆[認知症]の経過中にのみ現れるものではない。
4.病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が一般身体疾患(頭部外傷を含む)の直接的な生理学的結果であるという証拠がある。
さらに、以下の場合「一過性」、「慢性」として該当する場合は特記されます:
一過性
記憶障害の持続が1か月以内の場合、回復を待つことなく最初の1か月以内に診断が下される場合は、「暫定」という用語を付加してもよい。
慢性
記憶障害は1カ月を超えて持続する場合。
このように健忘性障害は、痴呆[認知症]のなかの特に記憶障害と症状が似通っているようです。
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治療法
痴呆[認知症]の中核症状は、知能機能の低下です。残念ながら、低下してしまった能力を元に戻すことは困難です。しかし、たとえばアルツハイマー型痴呆[認知症]は、脳の老化が原因とされますので、すこしでも脳の老化を遅くする治療法がとられます。たとえば、「脳代謝改善薬(のうたいしゃかいぜんやく)」を長期的に投与するなどです。
また、脳血管性痴呆[認知症]の場合は、脳出血(のうしゅっけつ)や脳梗塞(のうこうそく)によって特定部位が障害されたり、小さな梗塞巣(こうそくそう)がたくさんできるために起こることから、脳血管障害がこれ以上すすまないようにするため、「脳循環改善薬(のうじゅんかんかいぜんやく)」や「抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)」も併用します。
また、痴呆[認知症]の患者さんには、しばしば副次的な症状として、うつ状態や行動異常、妄想、意欲の減退、といった症状がみられます。したがって、こうした痴呆[認知症]に伴う症状を軽減することで知能低下は改善できなくても、生活の質をできるだけ維持していくよう努力します。
抗うつ薬や抗不安薬(こうふあんやく)、向精神薬(こうせいしんやく)を使うこともあります。
また、夜中に騒いだり徘徊したりする患者さんには、入眠薬(にゅうみんやく)を用いることもあります。
最近では、コリン作動性薬物の投与など、新しい方法が試みられていますが、十分な効果は確かめられていないのが現状です。
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痴呆[認知症]の生活環境上の注意
痴呆[認知症]になると、知能の低下や行動異常などの症状が出ます。知能の低下は、痴呆[認知症]の中核症状ですが、これら以外にも妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。
たとえば、夫や妻の不倫を妄想して一方的に嫉妬する「嫉妬妄想(しっともうそう)」、物を盗まれたという「被害妄想(ひがいもうそう)」などです。また、「幻視」といって、本来見えないはずのものが見える、夜中に家のなかを歩きまわる「夜間せん妄」など、があります。
そしてこれらの症状に関連してか、性格にも変化がみられることがあります。頑固になったり、自己中心的になる、あるいはそれまで清潔だった人が発病後、不潔な状況でも平気になってしまったり、というようにです。
周囲の人の対応で注意しなければならないことは、痴呆[認知症]の患者さんは、知的な機能は失われても、感情は繊細であることが多いのです。
したがって、周囲の人が軽蔑した態度をとったり、ご本人を頭から否定するような言動をとると、よくそれを観察していますし、症状をますます悪化させる要因となります。明確な治療法がない疾患だからこそ、病気がある状態そのままでご本人を受け入れる環境を整えることが、病気の進行を少しでも食い止めるうえで非常に重要です。
また、特に老人性の痴呆[認知症]であるアルツハイマー型痴呆[認知症]では、身体の変化や環境の変化が発病のきっかけとなったり、症状を悪化させます。長年勤めた会社を定年になったり、病気やけがで入院生活を余儀なくされたり、といったことです。
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長谷川式簡易知能評価スケール
改訂長谷川式簡易知能評価スケール
質問・・・評価表と点数
1.お歳はおいくつですか?・・・正解は1点(2年までの誤差は正解)
2.きょうは、何年の何月何日、何曜日?・・・年、月、曜日の各ひとつ正解で1点。すべて正解の場合は4点。
3.わたしたちが今いるところはどこですか?・・・自発的に答えられれば2点、5秒おいて家、病院施設の中から正しい選択ができれば1点
4.これからいう3つの言葉をいってみてください。
[1]a)桜、b)猫、c)電車
[2]a)梅、b)犬、c)自動車
・・・[1]と[2]の系列のうちいずれか1つを採用して○印をつけておきます。a)b)c)のうち1つ正解で1点、2つで2点、すべて正解で3点。
5.100から7を順番に引いてください。
[1]100-7=93、[2]93-7=86
6.わたしがこれからいう数字を逆からいってください。
[1]6,8,2は2,8,6
[2]3,5,2,9、は9,2,5,3
・・・[1]が政界で1点、[1]と[2]が正解で2点([1]が不正解の場合は打ち切る)
7.先ほど覚えてもらった言葉(4の質問)をもう一度いってみてください。
・・・自発的に回答があれば、a)b)c)各点、回答がない場合、ヒント(植物、動物、乗り物)を与え、正解すれば各1点。
8.これから5つの品物をみせます。それを隠しますのでなにかあったかいってください。
・・・時計、鍵、たばこ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なものをみせて答えてもらう。1品各1点、すべて正解の場合は5点。
9.知っている野菜の名前をできるだけ多くいってください。
・・・答えた野菜の名前を記入し、0~5つ正解で0点、6つで1点、7つで2点、8つで3点、9つで4点、10で5点(途中で回答につまり、約10秒まっても答えない場合にはそこで打ち切る)
1~9の質問で不正解の場合は、0点
評価法:30点(満点)は正常、20点以下は痴呆[認知症]の疑いあり

